饒舌映画ブログ

誰もが、映画をめぐってひたすら饒舌であったときの快楽を知っている。同時に、その果てに待ち受けている徒労の実感をも体験している。映画によって言葉を根こそぎ奪われた瞬間の無上の甘美さをたぶん、あなたは知っているだろう。そして、その沈黙にいつまでも耐え続けることの息苦しさをも知っているに違いない。欠語と饒舌のいずれを選ぼうとも、救われたためしなどかつてありはしなかったのだ。――『リュミエール』誌 《創刊の辞》より

【月報】Filmarks - January 2016(+月間アクセス・ランキング)

f:id:cinemaguide:20160207024944j:plain

f:id:cinemaguide:20160207025114j:plain

f:id:cinemaguide:20160207025007j:plain

 

 1月は、張り切っていた割には映画館に通えなかった。DVDのレンタルなどでも、ロッセリーニを除けば古典らしい古典をさほど観なかった。時間があまりにも・・・・なさすぎる。そんな中で、なんとか都合をつけて観たのが以下の28本。特に良かったものを赤字で示しています。

 

【劇場】

・『ディアーディアー』(2015)菊地健雄

・『ブラック・スキャンダル』(2015)スコット・クーパー

 

【DVD】

・『死霊のはらわた』(1981)サム・ライミ

・『サイドウェイ』(2004)アレクサンダー・ペイン

・『12モンキーズ』(1995)テリー・ギリアム

・『北北西に進路を取れ』(1959)アルフレッド・ヒッチコック

・『殺人カメラ』(1952)ロベルト・ロッセリーニ

・『ドイツ零年』(1948)ロベルト・ロッセリーニ

・『ストロンボリ/神の土地』(1950)ロベルト・ロッセリーニ

・『イタリア旅行』(1954)ロベルト・ロッセリーニ

・『隠された記憶』(2005)ミヒャエル・ハネケ

・『フレンチアルプスで起きたこと』(2014)リューベン・オストルンド

・『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989)スパイク・リー

・『プレシャス』(2009)リー・ダニエルズ

・『フルートベール駅で』(2013)ライアン・クーグラー

・『大統領の執事の涙』(2013)リー・ダニエルズ

・『グローリー/明日への行進』(2014)エヴァ・デュヴァネイ

・『ローリング』(2015)冨永昌敬

・『アイアンマン』(2008)ジョン・ファヴロー

・『アイアンマン2』(2010)ジョン・ファヴロー

・『アイアンマン3』(2013)シェーン・ブラック

・『フェイズIV 戦慄!昆虫パニック』(1974)ソール・バス

・『アントマン』(2015)ペイトン・リード

・『スタンド・バイ・ミー』(1986)ロブ・ライナー

・『MUD -マッド-』(2012)ジェフ・ニコルズ

・『恋人たちの予感』(1989)ロブ・ライナー

・『キミに逢えたら!』(2008)ピーター・ソレット

・『もしも君に恋したら。』(2013)マイケル・ドース

 

 こうしてリストを見返した時に、まず真っ先に思い出されるのは、やはり『ドイツ零年』における少年の落下の場面。正確には、その直前の、「もしかしたら思いとどまってくれるのでは」という、あの微妙な時間帯の緊張感です。ゴダール曰く、「あの子供は、妖怪にはなりたくないと思っている妖怪なのです」とのこと。これは傑作でした。なぜにこのタイミングでロッセリーニなのかと言えば、間違いなくアンドレ・バザン『映画とは何か』の影響でありまして、(書かれた時代において現在的な話題だったというのもあるでしょうが)議論や論考としてとして頻出するネオレアリズモを、あるいはその代表的な作家の作品を、そろそろちゃんと観ておきたいと思ったから。

 一方、鑑賞作品数が10を超えてきたヒッチコックは、しかし、作家縛りで一気にコンプリート(=マラソン)するよりも、思い出した頃に、あるいは「あと1本くらい何か借りてくかなあ」という時に観るのがちょうどいいことに気付いたので、先は急いでいません。実際、ようやく観ることができた『北北西に進路を取れ』は、一部の批評が言うように「最初のボンド・フィルム」、すなわちモロに007だったので驚きました。ヒッチコックと言えば、トリュフォーとの共著『映画術』を買ったので、こちらもゆっくり読んでいこうと思います。まずはその大きさにびっくり。

 劇場で観た『ディアーディアー』と新作レンタルで観た『ローリング』は、ともに国内の「地方を」描いた作品として話題に。地元のシネマテークで観た『ディアーディアー』では菊地監督らの舞台挨拶が聴けたのだけど、そこで言っていたのが「『ディアーディアー』や『ローリング』は地方を描いているけど、いわゆるご当地もの=観光映画にはなっていない、地方を必ずしも良くは描いていない」ということ(大意)。これを聴いた時の違和感と、空族の『サウダーヂ』を反芻しつつ、岸政彦の『断片的なものの社会学』を読んだらどこかすっきりするものがあった。これはそのうち、忘れないうちに書きます。

 あとは、ブラック・ムービーの新作~準新作をまとめて観たのが1月でもありました。クラシック『ドゥ・ザ・ライト・シング』の再見から始め、劇場での公開を見逃していた『グローリー/明日への行進』を新作レンタルで。これは悪くはないのだけどいささか真面目一辺倒であり、『フルートベール駅で』はナイーヴ過ぎました。その中での収穫となったのはレビューもアップした『プレシャス』だったのですが、同監督の『大統領の執事の涙』が微妙だったので作家としての評価は保留かなと。作家としての評価という意味では、『テイク・シェルター』を先に観ていたジェフ・ニコルズの『マッド』にも良い意味で裏切られました。マジックアワーの演出はあまり好きではないのですが、あの作品は許せるものがありました。

 

【2016年1月の月間アクセス・ランキング】(上から1位→5位)