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饒舌映画ブログ

誰もが、映画をめぐってひたすら饒舌であったときの快楽を知っている。同時に、その果てに待ち受けている徒労の実感をも体験している。映画によって言葉を根こそぎ奪われた瞬間の無上の甘美さをたぶん、あなたは知っているだろう。そして、その沈黙にいつまでも耐え続けることの息苦しさをも知っているに違いない。欠語と饒舌のいずれを選ぼうとも、救われたためしなどかつてありはしなかったのだ。――『リュミエール』誌 《創刊の辞》より

【News】『バンコクナイツ』、ジャパンプレミア爆音上映&東京プレミア爆音上映決定!!

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 超待望、とだけまずは言っておこう。

 ちょっと前に2010年代の映画リストをまとめた時、《海外メディアのトップ10には選ばれていないが、必見の作品として個人的に推しておきたいテン年代の5本》にも選んだ『サウダーヂ』から、すでに5年の月日が経過している。大げさではなく、ひとつの国の形が変わってしまうには十分すぎるほどの時間だ。実際、2011年と言えば、『サウダーヂ』が挿入歌に使うつもりでいた(が、『愛のむきだし』に先を越されてしまったらしい)楽曲、ゆらゆら帝国の「空洞です」が、まだその同時代性と批評的な有効性をギリギリで保っていた最後の季節だった。

 今、空洞を空洞と言い当てるだけで批評が起動し得るような、諧謔的でどこか倒錯した時代の「余白」というものは、ほとんど残っていないように思える。正確には、「言い当てるだけでは足りない」のが、2010年代の日本ではないか。僕たちはその余白をあまりにも早く食いつぶしてしまったし、想像するだけでもゾッとするようなおぞましさが、国内外で次々に現実と化していく。そうした時代の空気を吸い直し、あらゆる言葉が直截的になった『ナマで踊ろう』がどれほど評価できる作品かはともかく、時の流れの中で『空洞です』がその役割を終えたことだけは間違いない。

 

 『サウダーヂ』は、夢に破れてしまった者たちについての映画だった。もっと言うなら、夢に破れてしまった者たちが、それでもまた夢を見てしまうことについての映画だった。

 地方のくすぶりや、出戻り組の痛々しさなども描かれているが、昨今の「地方映画」とやらにありがちなションベン臭い「ネタっぽさ」は注意深く取り除かれていた。実際、『サウダーヂ』は観光気分で撮られた地方の映画ではなかったし、ラスト近くの、商店街のアーケードを彩る幻の喧騒がもたらす郷愁は、故郷に住み続けながらもその故郷をゆっくりと失っていく感覚がなければ生まれなかったものだろう。そこには、「空洞です」ではなくロックの懐メロが添えられていたが、今となってはそれで正解だったように思える。

 

 さて、前置きはこのくらいにしよう。富田克也と空族らによる182分の映画、超待望の『バンコクナイツ』が完成したようだ。

 特に言えることなど何もないのだが、キーワードとして示されている「娼婦」「楽園」「植民地」のうち前者二つと、断片的な予告映像から、なんとなく連想した映画を思いつくままに列挙してみる。特にバイクでの走行シーン(=もっとも素晴らしい被写体のひとつ)は多そうな感じがする。もし、未見のものがあればあと2ヶ月のうちに観ておいていただきたい。『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』(ジョン・カサヴェテス監督)、『憂鬱な楽園』(ホウ・シャオシェン監督)、『青の稲妻』『世界』(いずれもジャ・ジャンクー監督)、『メゾン ある娼館の記憶』(ベルトラン・ボネロ監督)など。

 

■ 9月24日(土)

ジャパンプレミア爆音上映山口情報芸術センターYCAM

 

■ 10月1日(土)

東京プレミア爆音上映爆音映画祭2016 特集タイ|イサーン

〔前売り券は8月12日(金)午前10時より販売〕

 

《キャスト》

スベンジャ・ポンコン

スナン・プーウィセット

チュティパー・ポンピアン

タンヤラ ット・コンプー

サリンヤー・ヨンサワット

伊藤仁

川瀬陽太

 

《スタッフ》

監督:富田克也

脚本:相澤虎之助、富田克也

撮影・照明:スタジオ石 (向山正洋、古屋卓麿)

録音:山﨑巌、YOUNG-G

DJs:SOI48、YOUNG-G

ライン・プロデユーサー:長瀬伸輔

助監督:河上健太郎

ヘアメイク・衣裳:ピーヤー・ニヨム、ナンナパッ ト・ワッタナージャランポン

スチール: 山口貴裕

コ・プロデューサー:大野敦子、筒井龍平、フィリップ・アヴリル、アピチャ・サランチ ョン、ドゥアンメニー・ソリパナン、マチエ・ドゥー

アソシエイト・プロデューサー:小山内照太郎

製作:空族、FLYING PILLOW FILMS、トリクスタ、LES FILMS DE L’ÉTRANGER、 BANGKOK PLANNING、LAO ART MEDIA

宣伝:岩井秀世

配給:空族

助成:文化庁国際交流基金、EUROMÉTROPOLE DE STRASBOURG、RÉGION GRAND EST

日本・フランス・タイ・ラオス共同製作作品

(すべて公式サイトより)