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饒舌映画ブログ

誰もが、映画をめぐってひたすら饒舌であったときの快楽を知っている。同時に、その果てに待ち受けている徒労の実感をも体験している。映画によって言葉を根こそぎ奪われた瞬間の無上の甘美さをたぶん、あなたは知っているだろう。そして、その沈黙にいつまでも耐え続けることの息苦しさをも知っているに違いない。欠語と饒舌のいずれを選ぼうとも、救われたためしなどかつてありはしなかったのだ。――『リュミエール』誌 《創刊の辞》より

バイロン・ハワード/リッチ・ムーア監督『ズートピア』

『ズートピア』(Zootopia, 2016)バイロン・ハワード/リッチ・ムーア 仮にも先進国に生きる人々が、21世紀になっても(主に人種の違いに基づく)差別の問題でグズグズになっているとは夢にも思わなかった・・・・と、優等生的なため息をもっともらしくついてみ…

ヨルゴス・ランティモス監督『ロブスター』

『ロブスター』(The Lobster, 2015)ヨルゴス・ランティモス これは・・・・・かなり「喰らう」作品だ。『籠の中の乙女』で世間をざわつかせたヨルゴス・ランティモスの新作、この『ロブスター』なる映画で、人は「一人で生きること」を許されていない。あらすじ…

デヴィッド・マッケンジー監督『名もなき塀の中の王』

『名もなき塀の中の王』(Starred Up, 2013)デヴィッド・マッケンジー タイトなリアリズムの筆致に思わず息を飲み、暴力で痛めつけられ、血で汚れていく男たちの身体、そして顔を見つめていると、いつの間にか映画は終わってしまった。というか、自分が映画…

ジョージ・ミラー監督『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(Mad Max: Fury Road, 2015) ジョージ・ミラー 6月27日に劇場で観て以来、改めてこの『マッドマックス 怒りのデス・ロード』をソフトで再見して思ったのは、これはジョージ・ミラーにとっての「完全映画」なのではない…

是枝裕和監督『海街diary』

『海街diary』(Our Little Sister, 2015) 是枝裕和 ある男の「不在」を共有することで立ち上がる物語であるにも関わらず、是枝裕和の新作『海街diary』において、その男のかつての姿を写真で確かめようとする者は誰一人としていない(唯一、父の記憶をほと…

デスティン・クレットン監督『ショート・ターム』

『ショート・ターム』(Short Term 12, 2013)デスティン・クレットン 橋口亮輔監督の『ぐるりのこと。』をめぐって、宮台の言う社会的な「包摂」のことを少しだけ考えた。 宮台の著作は売り払ってしまったものも少なくないので、記憶を頼りに雑な引用をして…

リー・ダニエルズ監督『プレシャス』

『プレシャス』(Precious: Based on the Novel "Push" By Sapphire, 2009)リー・ダニエルズ 貧困、家庭内暴力、近親相姦、性虐待、そして「望まぬ妊娠」――夢や妄想の中では既にビヨンセばりのスターとして歌手・女優業等で世界的な成功を収めている16歳の…