読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

饒舌映画ブログ

誰もが、映画をめぐってひたすら饒舌であったときの快楽を知っている。同時に、その果てに待ち受けている徒労の実感をも体験している。映画によって言葉を根こそぎ奪われた瞬間の無上の甘美さをたぶん、あなたは知っているだろう。そして、その沈黙にいつまでも耐え続けることの息苦しさをも知っているに違いない。欠語と饒舌のいずれを選ぼうとも、救われたためしなどかつてありはしなかったのだ。――『リュミエール』誌 《創刊の辞》より

デヴィッド・マッケンジー監督『名もなき塀の中の王』

『名もなき塀の中の王』(Starred Up, 2013)デヴィッド・マッケンジー タイトなリアリズムの筆致に思わず息を飲み、暴力で痛めつけられ、血で汚れていく男たちの身体、そして顔を見つめていると、いつの間にか映画は終わってしまった。というか、自分が映画…

デミアン・チャゼル監督『セッション』

『セッション』(Whiplash, 2014) デミアン・チャゼル 星野源だの福山雅治だの、あるいは売り出し中の無味乾燥なギター・ロック・バンドのベーシストなんかを「変態」と呼ぶ文化には苦笑すら浮かべられぬような人間からすれば、この『セッション』(Whiplas…

テン年代の映画 ベスト・リスト(2010-2014年)

ゼロ年代のベスト・リストが大変なご好評をいただいた。 では、一方で、テン年代はどうなのだろう。ゼロ年代に決定的に進行した状況の細分化や興味の拡散がきれいに収束した、などという話は聞いたことがない。われわれの日常生活や、あるいは身体性にまで深…

デスティン・クレットン監督『ショート・ターム』

『ショート・ターム』(Short Term 12, 2013)デスティン・クレットン 橋口亮輔監督の『ぐるりのこと。』をめぐって、宮台の言う社会的な「包摂」のことを少しだけ考えた。 宮台の著作は売り払ってしまったものも少なくないので、記憶を頼りに雑な引用をして…

ジョナサン・グレイザー監督『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』

『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(Under The Skin, 2013)ジョナサン・グレイザー 「ずいぶんとまあ、批評家受けしそうな映画だ」というのが、この『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』を見終わったあとに、日本各地の映画愛好家たち――『アンダー・ザ・スキ…

セバスチャン・コルデロ監督『エウロパ』

『エウロパ』(Europa Report, 2013) セバスチャン・コルデロ 『インターステラー』か『ゼロ・グラビティ』を見直し、気分が乗ればブログにレビューでも書いてみよう、何ならそれで多少のアクセスを稼ぎたい、などと思っていた筈が、レンタル屋で借りたのは…

リー・ダニエルズ監督『プレシャス』

『プレシャス』(Precious: Based on the Novel "Push" By Sapphire, 2009)リー・ダニエルズ 貧困、家庭内暴力、近親相姦、性虐待、そして「望まぬ妊娠」――夢や妄想の中では既にビヨンセばりのスターとして歌手・女優業等で世界的な成功を収めている16歳の…