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饒舌映画ブログ

誰もが、映画をめぐってひたすら饒舌であったときの快楽を知っている。同時に、その果てに待ち受けている徒労の実感をも体験している。映画によって言葉を根こそぎ奪われた瞬間の無上の甘美さをたぶん、あなたは知っているだろう。そして、その沈黙にいつまでも耐え続けることの息苦しさをも知っているに違いない。欠語と饒舌のいずれを選ぼうとも、救われたためしなどかつてありはしなかったのだ。――『リュミエール』誌 《創刊の辞》より

橋口亮輔監督『恋人たち』

『恋人たち』(2015) 橋口亮輔 誰しもが止まった時計を見つめながら、過去の思い出の中を生き、「ソフトに死んでいる」――。橋口亮輔監督、待望の長編『恋人たち』では、そのような3人の男女がカメラに収まっている。周知のように、それらの中心人物を演じ…

橋口亮輔監督『ぐるりのこと。』(Review)

『ぐるりのこと。』(All Around Us, 2008) 橋口亮輔 「子は鎹(かすがい)」とは言うけれど、では、生後間もなく死んでしまった子供はどうなのだろう。まして、その子供を授かった夫婦が「できちゃった婚」で結ばれた二人なのだとしたら、「子」はそれでも…

橋口亮輔監督『ハッシュ!』

『ハッシュ!』(Hush!, 2001) 橋口亮輔 「普通の」とか、「中流の」とか言われる失敗しない生き方がまだモデル的な人生として残っているとしたら、橋口監督が描く「教科書に載っていない人生」を模索する人びとは、それを見下してもいなければ嫉んでもいな…

橋口亮輔監督『渚のシンドバッド』

『渚のシンドバッド』(Like Grains of Sand, 1995) 橋口亮輔 シークエンスが切り替わり、さあ物語の行方はどうなるのだと先走るわれわれを突き放すかのように、視界の端に光の存在を認めながらも、カメラは意図的にその光源からは逸らされ、判別不能な暗闇…