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饒舌映画ブログ

誰もが、映画をめぐってひたすら饒舌であったときの快楽を知っている。同時に、その果てに待ち受けている徒労の実感をも体験している。映画によって言葉を根こそぎ奪われた瞬間の無上の甘美さをたぶん、あなたは知っているだろう。そして、その沈黙にいつまでも耐え続けることの息苦しさをも知っているに違いない。欠語と饒舌のいずれを選ぼうとも、救われたためしなどかつてありはしなかったのだ。――『リュミエール』誌 《創刊の辞》より

エリック・ロメール監督『海辺のポーリーヌ』

『海辺のポーリーヌ』(Pauline à la plage, 1983)エリック・ロメール エリック・ロメールの僥倖とも言えるレトロスペクティブ、ただいま全国を巡業中の特集上映《ロメールと女たち》に行ってきた。 個人的にはこれまで、なんとなくフランス映画の恋愛至上…

【News】『バンコクナイツ』、ジャパンプレミア爆音上映&東京プレミア爆音上映決定!!

超待望、とだけまずは言っておこう。 ちょっと前に2010年代の映画リストをまとめた時、《海外メディアのトップ10には選ばれていないが、必見の作品として個人的に推しておきたいテン年代の5本》にも選んだ『サウダーヂ』から、すでに5年の月日が経過している…

【月報】Filmarks – May / June 2016(+月間アクセス・ランキング)

「とりあえず押さえておかなくちゃ」的な話題作を真面目に追いかけていたら、少し疲れてしまった。別に、興味がないなら最初から観なければいいのだけど、なんとなく、義務感に負けてしまった作品がいくつかあった。『レヴェナント: 蘇えりし者』なんて、文…

【News】エリック・ロメール監督特集上映『ロメールと女たち』

エリック・ロメールのフィルム(ではなく、デジタル・リマスター)が全国を回っている。すでに上映が終わっている角川シネマ有楽町以外の会場でかかるのは、以下の5作品。 ・『海辺のポーリーヌ』(1983) ・『満月の夜』(1984) ・『緑の光線』(1985) ・…

【News】生誕100年 映画監督 加藤泰

生誕100年を記念し、東京国立近代美術館フィルムセンターで加藤泰の大回顧特集が7月12日から始まる。上映はすべてフィルムでなされるようで、音声が飛んでしまっている作品もそのままかかるようだ。地方市民からすればムカつくほど羨ましい超豪華なレトロス…

マシュー・ハイネマン監督『カルテル・ランド』

『カルテル・ランド』(Cartel Land, 2015)マシュー・ハイネマン (武器保有権) 規律ある民兵団は、自由な国家の安全にとって必要であるから、国民が武器を保有し携行する権利は、 侵してはならない。 ――アメリカ合衆国憲法修正第2条 機能しない「法の支配…

Simpsonwaveとはなんぞや

●はじめに ネットで拾ったのか、自分でリッピングしたのか、あるいはマジに放送当時の録画ビデオから抜いたのか、分からないが、シンプソンズの粗悪なアニメーション素材にヴェイパーウェイヴを重ねたMADムービーらしきものがネットで多く出回っている。その…

是枝裕和監督『海よりもまだ深く』

『海よりもまだ深く』(After the Storm, 2016)是枝裕和 凍らせたカルピス、凍らせたカレー、乾麺、あるいは墨といった、「温めるなり、とかす(融かす/溶かす)なりしなければ使いようのないもの」が、日常生活の中で度々登場する。その演出意図はおそら…

ジャ・ジャンクー監督『山河ノスタルジア』

『山河ノスタルジア』(Mountains May Depart, 2015)ジャ・ジャンクー 決して傑出した内容ではないものの、だからと言って観る者を極端に苛立たせることもない、穏当と言えば穏当な作品をしかし、現代最高の映画作家のひとり、ジャ・ジャンクーが何らかの思…

レニー・アブラハムソン監督『ルーム』

『ルーム』(Room, 2015)レニー・アブラハムソン 冒頭、被写体との距離が近すぎるのだろう、まるでピントの合っていないショットが無造作に連ねられる。モノは確かにそこにあるのに、近すぎて逆に見えない。そう、それこそが、生まれてからの5年間、「部屋…

【月報】Filmarks – February / March / April 2016(+月間アクセス・ランキング)

「どんなに忙しくてもこれだけは更新しよう」と思っていたこの月報コーナーすら、3ヶ月も放置していた。この事実だけで、どのような時間を過ごしていたかはご想像いただけると思う。「時間があまりにも・・・・なさすぎる」と1月に書いたが、それでもまだマシだ…

バイロン・ハワード/リッチ・ムーア監督『ズートピア』

『ズートピア』(Zootopia, 2016)バイロン・ハワード/リッチ・ムーア 仮にも先進国に生きる人々が、21世紀になっても(主に人種の違いに基づく)差別の問題でグズグズになっているとは夢にも思わなかった・・・・と、優等生的なため息をもっともらしくついてみ…

ヨルゴス・ランティモス監督『ロブスター』

『ロブスター』(The Lobster, 2015)ヨルゴス・ランティモス これは・・・・・かなり「喰らう」作品だ。『籠の中の乙女』で世間をざわつかせたヨルゴス・ランティモスの新作、この『ロブスター』なる映画で、人は「一人で生きること」を許されていない。あらすじ…

【月報】Filmarks - January 2016(+月間アクセス・ランキング)

1月は、張り切っていた割には映画館に通えなかった。DVDのレンタルなどでも、ロッセリーニを除けば古典らしい古典をさほど観なかった。時間があまりにも・・・・なさすぎる。そんな中で、なんとか都合をつけて観たのが以下の28本。特に良かったものを赤字で示し…

2015年の映画 年間ベスト・リスト

海外メディアによる映画の年間ベストは、音楽の年間ベストほど役には立たない。正確に言うなら、音楽の年間ベストほど「すぐには」役には立たない。 当たり前のことを当たり前に指摘しておくが、海外の映画であれば、そもそも日本の劇場に輸入されるまでのタ…

橋口亮輔監督『恋人たち』

『恋人たち』(2015) 橋口亮輔 誰しもが止まった時計を見つめながら、過去の思い出の中を生き、「ソフトに死んでいる」――。橋口亮輔監督、待望の長編『恋人たち』では、そのような3人の男女がカメラに収まっている。周知のように、それらの中心人物を演じ…

デヴィッド・マッケンジー監督『名もなき塀の中の王』

『名もなき塀の中の王』(Starred Up, 2013)デヴィッド・マッケンジー タイトなリアリズムの筆致に思わず息を飲み、暴力で痛めつけられ、血で汚れていく男たちの身体、そして顔を見つめていると、いつの間にか映画は終わってしまった。というか、自分が映画…

ペイトン・リード監督『アントマン』

『アントマン』(Ant-Man, 2015) ペイトン・リード ヒップスターはアウトローの代用だ。ヒップスターというのは、毒抜きした犯罪者であり、犯罪を犯さずに犯罪へと近づくものだ。 ――ジョン・リーランド著『ヒップ――アメリカにおけるかっこよさの系譜学』より…

ダミアン・ジフロン 監督『人生スイッチ』

『人生スイッチ』(Wild Tales, 2015)ダミアン・ジフロン われわれは普段、世の中の倫理や、常識や、正式に立法された公共のルールから、文書化などされていないローカルな約束のようなものまで、様々な「約束事」を建前として一応は信じ、無言の契約をみん…

園子温監督『リアル鬼ごっこ』

『リアル鬼ごっこ』(2015) 園子温 「ディスったら負け」みたいな映画がある。その線引きは、ライターや批評家の自意識の問題、ではなく、「作家が織り込み済みでやっていることを、作品の醜悪な点として指摘してしまうことの批評的無意味さ」で規定される…

リューベン・オストルンド監督『フレンチアルプスで起きたこと』

『フレンチアルプスで起きたこと』(Force Majeure, 2014)リューベン・オストルンド 山の斜面にたまっていた大量の雪や土砂などが、下層部のゆるみが原因となって、激しい勢いで次から次へと崩れ落ちること。――新明解国語辞典〔三省堂〕 真っ白なゲレンデを…

ジョージ・ミラー監督『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(Mad Max: Fury Road, 2015) ジョージ・ミラー 6月27日に劇場で観て以来、改めてこの『マッドマックス 怒りのデス・ロード』をソフトで再見して思ったのは、これはジョージ・ミラーにとっての「完全映画」なのではない…

是枝裕和監督『海街diary』

『海街diary』(Our Little Sister, 2015) 是枝裕和 ある男の「不在」を共有することで立ち上がる物語であるにも関わらず、是枝裕和の新作『海街diary』において、その男のかつての姿を写真で確かめようとする者は誰一人としていない(唯一、父の記憶をほと…

北野武監督『龍三と七人の子分たち』

『龍三と七人の子分たち』(2015) 北野武 それが何かの役に立てば「個性」と呼ばれ、何の役にも立たぬどころかやがて世間様に害を及ぼすようになれば「老害」と呼ばれるであろう、個に属する一定の傾向のようなもの。任侠映画の、北野映画の、あるいは超高…

デミアン・チャゼル監督『セッション』

『セッション』(Whiplash, 2014) デミアン・チャゼル 星野源だの福山雅治だの、あるいは売り出し中の無味乾燥なギター・ロック・バンドのベーシストなんかを「変態」と呼ぶ文化には苦笑すら浮かべられぬような人間からすれば、この『セッション』(Whiplas…

アンドレ・バザン著『映画とは何か』

「映画を〈考える〉言葉」、いや、そんな堅苦しいものではなく、もっと身体に馴染むような言葉、映画の素肌におそるおそる手を伸ばし、触れるか触れないかのところで揺らいでいる言葉を仮にこう呼ぶなら、「映画を〈観る〉言葉」ということになるのだろうが…

テン年代の映画 ベスト・リスト(2010-2014年)

ゼロ年代のベスト・リストが大変なご好評をいただいた。 では、一方で、テン年代はどうなのだろう。ゼロ年代に決定的に進行した状況の細分化や興味の拡散がきれいに収束した、などという話は聞いたことがない。われわれの日常生活や、あるいは身体性にまで深…

デスティン・クレットン監督『ショート・ターム』

『ショート・ターム』(Short Term 12, 2013)デスティン・クレットン 橋口亮輔監督の『ぐるりのこと。』をめぐって、宮台の言う社会的な「包摂」のことを少しだけ考えた。 宮台の著作は売り払ってしまったものも少なくないので、記憶を頼りに雑な引用をして…

ジョナサン・グレイザー監督『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』

『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(Under The Skin, 2013)ジョナサン・グレイザー 「ずいぶんとまあ、批評家受けしそうな映画だ」というのが、この『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』を見終わったあとに、日本各地の映画愛好家たち――『アンダー・ザ・スキ…

セバスチャン・コルデロ監督『エウロパ』

『エウロパ』(Europa Report, 2013) セバスチャン・コルデロ 『インターステラー』か『ゼロ・グラビティ』を見直し、気分が乗ればブログにレビューでも書いてみよう、何ならそれで多少のアクセスを稼ぎたい、などと思っていた筈が、レンタル屋で借りたのは…

リー・ダニエルズ監督『プレシャス』

『プレシャス』(Precious: Based on the Novel "Push" By Sapphire, 2009)リー・ダニエルズ 貧困、家庭内暴力、近親相姦、性虐待、そして「望まぬ妊娠」――夢や妄想の中では既にビヨンセばりのスターとして歌手・女優業等で世界的な成功を収めている16歳の…

ゼロ年代の映画 ベスト・リスト

2000s アルフォンソ・キュアロン テレンス・マリック クエンティン・タランティーノ 宮崎駿 クリストファー・ノーラン コーエン兄弟 ポール・トーマス・アンダーソン スパイク・リー ミシェル・ゴンドリー アッバス・キアロスタミ スティーヴン・スピルバーグ アブデラティフ・ケシシュ デヴィッド・クローネンバーグ ポン・ジュノ アピチャッポン・ウィーラセタクン ガス・ヴァン・サント デヴィッド・リンチ マーティン・スコセッシ フェルナンド・メイレレス ダニー・ボイル ジョン・ファヴロー マイケル・ムーア ラース・フォン・トリアー クリスチャン・ムンギウ ナンニ・モレッティ ミヒャエル・ハネケ ラリー・チャールズ ウェス・アンダーソン ダルデンヌ兄弟 ソフィア・コッポラ クレール・ドニ キャメロン・クロウ ジャン=ピエール・ジュネ クリント・イーストウッド アン・リー ブライアン・デ・パルマ ペドロ・アルモドバル タル・ベーラ ジャファール・パナヒ ウォン・カーウァイ エドワード・ヤン ジャ・ジャンクー ダーレン・アロノフスキー 園子温 ラミン・バーラニ ミランダ・ジュライ ジェイソン・ライトマン パッティー・ジェンキンス キャスリン・ビグロー チャーリー・カウフマン LISTS & GUIDES

ゼロ年代。あらゆるジャンルで状況の細分化、興味の拡散が取り返しのつかないレベルで進行した(少なくとも、そのことに確認的に言及できるようになった)ディケイドである。今やわれわれは、SNSのタイムライン(=鏡)に向けて話しかけ、ただ虚しくすれ…

クリント・イーストウッド監督『グラン・トリノ』(Review)

『グラン・トリノ』(Gran Torino, 2008)クリント・イーストウッド 『グラン・トリノ』は西部劇である。1992年の傑作『許されざる者』が「最後の西部劇」と評されたことを踏まえるなら、今度こそ最後の、いわば「最後の『最後の西部劇』」である。その最新…

『カイエ・デュ・シネマ』誌が選ぶ、史上最高の映画監督50人

ラオール・ウォルシュ ジョージ・キューカー レオ・マッケリー オットー・プレミンジャー ジャック・タチ チャールズ・ロートン ジャック・ドゥミ フランシス・フォード・コッポラ ウディ・アレン ジャック・ベッケル ニコラス・レイ ジャン・ヴィゴ モーリス・ピアラ D・W・グリフィス キング・ヴィダー エリア・カザン ジョン・ヒューストン エリッヒ・フォン・シュトロハイム 小津安二郎 バスター・キートン ビリー・ワイルダー マルセル・カルネ セルゲイ・エイゼンシュテイン ミケランジェロ・アントニオーニ ジョセフ・フォン・スタンバーグ ロベルト・ロッセリーニ ジョセフ・L・マンキウィッツ ヴィンセント・ミネリ スタンリー・キューブリック フランソワ・トリュフォー カール・テオドア・ドライヤー アラン・レネ マックス・オフュルス 黒澤明 溝口健二 ロベール・ブレッソン ルキノ・ヴィスコンティ エルンスト・ルビッチ フェデリコ・フェリーニ ジャン=リュック・ゴダール ハワード・ホークス F・W・ムルナウ ルイス・ブニュエル イングマール・ベルイマン オーソン・ウェルズ ジョン・フォード チャールズ・チャップリン フリッツ・ラング アルフレッド・ヒッチコック LISTS & GUIDES

フランスの映画批評誌『カイエ・デュ・シネマ』が、2008年ごろ、78人の批評家などから投票を得て、映画100本と監督50人、いや、彼らの流儀に倣って言えば映画作家50人をリストアップしています。「100本」の方は転載ブログもよく見かけるので、ここでは「50…

ピーター・ソレット監督『キミに逢えたら!』

『キミに逢えたら!』(Nick and Norah's Infinite Playlist, 2008)ピーター・ソレット 気になる女の子に自作のラブソングを捧げるのが「激痛!」なら、菊地成孔が言うところの「大激痛!」に相当するのは、自作のミックスCDを贈ることだろう。なんせそれは…

橋口亮輔監督『ぐるりのこと。』(Review)

『ぐるりのこと。』(All Around Us, 2008) 橋口亮輔 「子は鎹(かすがい)」とは言うけれど、では、生後間もなく死んでしまった子供はどうなのだろう。まして、その子供を授かった夫婦が「できちゃった婚」で結ばれた二人なのだとしたら、「子」はそれでも…

橋口亮輔監督『ハッシュ!』

『ハッシュ!』(Hush!, 2001) 橋口亮輔 「普通の」とか、「中流の」とか言われる失敗しない生き方がまだモデル的な人生として残っているとしたら、橋口監督が描く「教科書に載っていない人生」を模索する人びとは、それを見下してもいなければ嫉んでもいな…

90年代の映画 ベスト・リスト

90年代のベスト・リストをまとめる。 Filmarksという映画レビューのSNSをロムっていると分かることは、ああいうアプリをダウンロードして定期的にレビューを投稿するような人でさえ、古典をほとんど見ないということ。たまに40年代~50年代の素晴らしい古典…

ウディ・アレン監督『ギター弾きの恋』(Review)

『ギター弾きの恋』(Sweet and Lowdown, 1999) ウディ・アレン ウディ・アレンのフィルモグラフィーにおいては、ウディ・アレンが役者として出しゃばっていない作品の方が名作であることが多く、その例外ではないこの『ギター弾きの恋』も、その後、それぞ…

橋口亮輔監督『渚のシンドバッド』

『渚のシンドバッド』(Like Grains of Sand, 1995) 橋口亮輔 シークエンスが切り替わり、さあ物語の行方はどうなるのだと先走るわれわれを突き放すかのように、視界の端に光の存在を認めながらも、カメラは意図的にその光源からは逸らされ、判別不能な暗闇…

ウディ・アレン監督『カイロの紫のバラ』

『カイロの紫のバラ』(The Purple Rose of Cairo, 1985) ウディ・アレン 映画館の前で、新作のポスターに見入る女。その素晴らしい、抑制されつつもどこか物欲しげな表情を捉える数秒のショットで映画は幕を開ける。人は誰だって、こんな表情で映画の素肌…

モンテ・ヘルマン監督『コックファイター』(Review)

『コックファイター』(Cockfighter, 1974)モンテ・ヘルマン 例えば、鶏の眼球周辺を中心に据えたクローズアップが不意に画面を覆う時。例えば、狭苦しい競技場の中で鶏が羽をバタつかせながら戦っている光景が、無造作に画面に映し出される時。例えば、山…

メル・ブルックス監督『ブレージングサドル』(Review)

『ブレージングサドル』(Blazing Saddles, 1974) メル・ブルックス 思わず「こ・れ・は・ひ・ど・い」の一言で終わりにしたくなる、西部劇×ミュージカル×ブラックスプロイテーションという掛け合わせの異色作である。クエンティン・タランティーノの『ジャ…

クリント・イーストウッド監督『荒野のストレンジャー』

『荒野のストレンジャー』(High Plains Drifter, 1973) クリント・イーストウッド これはとにかく、凄まじい作品である。脚本を書いたのは、ブラックスプロイテーションの代名詞ともいえる『黒いジャガー』シリーズのアーネスト・タイディマンという人らし…

バート・ケネディ監督『女ガンマン・皆殺しのメロディ』(Review)

『女ガンマン・皆殺しのメロディ』(Hannie Caulder, 1971) バート・ケネディ ともすればタランティーノの『ビルを殺せ』の主たるネタ元として面白半分で評価されているかに思える、紛れもなく「B級西部劇」であるこの映画が、それでもなお「映画」たり得…

モンテ・ヘルマン監督『旋風の中に馬を進めろ』『銃撃』

『旋風の中に馬を進めろ』(Ride in the Whirlwind, 1966) モンテ・ヘルマン *** 『銃撃』(The Shooting, 1967) モンテ・ヘルマン モンテ・ヘルマン監督の初期の西部劇、『旋風の中に馬を進めろ』と『銃撃』は、1本あたり7万5千ドルという過酷な予算で…

ニコラス・レイ監督『大砂塵』

『大砂塵』(Johnny Guitar, 1954) ニコラス・レイ ニコラス・レイの『大砂塵』という映画が、歴史に残る傑作であることに疑いの余地はないのだが、しかし、果たしてそれが「西部劇の傑作」なのかと問われれば、さきほどまでの自信はたちまち消え去ってしま…